節分鰯

節分鰯

節分にお客様がいらしたので、一緒に節分鰯を作った。

 

<Mika Sakamoto>


節分鰯は、玄関や鬼門に鰯(イワシ)や柊を飾り、鬼(=災い)から家を守るという風習。

節分といえば豆まきで、家でも子供だけで数回イベント的に撒いた事があるが、それよりも記憶に残っているのはこの柊鰯。
祖父がいつの間にか作って、いつの間にか飾っていたのだけれど、大の大人が魔法使いの道具のようなものを、神棚や仏壇以外に飾っているのがなんだか不思議だった。



田舎の山奥の爺のすること。
大人になってふと思い出しインターネットで調べ、わりと有名な風習だと知り驚いた。
農業にしても諸々の祭事にしても、すべてを書き残したものがあるわけでなく、目と耳と体の記憶で続けられてきたことの多さに改めて驚く。

 

ちなみに、鰯と柊と一緒にみかんなど柑橘の皮を挟むというのは、どこにも書かれていない。
うちの爺のオリジナル?今度 近所のお爺さんに聞いてみようと思う。


文化や風習を残すのは大切だと分かってはいても、時代が変わると状況がゆるさない場合もあるのは当然で
それなりに妥協ややり方を変えるのも必要で、変わっていってもいいのかもと思うことがある。

この地域には、年に数回 田舎暮らしを体験するため、学生さんがやってくる。
2,3日の間、熟した柿をそーーーっと落とさないように採って食べたり
茶の葉を摘んで昔スタイルでお茶にしたりと、日常や休日の切り取りを一緒にして過ごす。
時にレンチンの合わせ技も取り入れつつ。

ちょっとした習慣や方言に気づかされ、笑い上戸と楽しみ上手の若者に楽しませてもらっている。

楽しい、面白い、興味深いと思ってもらえると何らかの形で残っていくかもしれないと思うと
アレンジしながらも昔の暮らしを一緒に笑える、この時間がありがたく嬉しい。