山道の色

山道の色

毛布や厚手の靴下がうれしい季節
山のあちこちに黄色や赤色が見え、短い秋がやってきました。

小さな秋を見つけては部屋に持ち帰り楽しんでいますが、

 

最近山道に新しい色が増えています。

他には決して交わることのない色のリボンは

「地籍調査」の印

あったであろう道が草木で消滅していたり、それを知る人も記録もあやふやになっている境界を、徒歩で調べて回っているようです。
少し前は、山主が立ち会って回っていたようですが、住民は年寄りばかり。
草木が生い茂り急坂で足元が悪い山を歩ける体力を持ち合わせている者はおらず、同意書の提出を受けヘルメットをかぶった森林組合などの方々が鉈を持って歩いています。

 

別に白い札もよく見るようになりました。

猪や鹿の罠が仕掛けられていることを知らせる札です。

この集落では家が減り、作物を作っている家も家庭菜園程度。
田舎でありがちな作物を荒らされて困るという鳥獣被害は多くありません。
それでも、こうした罠がよく仕掛けられるようになったのは、法面を駆け上がる猪によって道路に泥や岩がなだれ落ちてきて、生活道路が侵されることへの対応。

 

白い札といえば、ずっと昔からあるものもあります。

集落と集落の境目に立てられる札で、集落同士が離れた山では、人里とそうでない場所との境も示す札。

ある方の説明では「よくないものとの結界のようなもの」だそうです。
ですが、人が住まなくなった地域では、その札をもらってくる人も立てることもなくなるんだとか。

 

地籍調査の結果はPCにマッピングされて記録されるようです。
自然の中に人が印をするものも、時代によって変わるなと、ぼんやりと考えていたのですが、今後リアルに地面に打たれた杭を訪れる人がいるのかどうか。

 

獣も精霊も自由になってそれはそれでいいのかもしれない。

いやよくないか?

わからない。